Dementia・3

アダムの日記から。

一緒に住むようになって三日後に、ドーナルと初めてセックスをした。セックスは前からそんなに好きではなかったが、ドーナルに抱かれて大好きになってしまった。まさかこの年で・・・すごく恥ずかしいが、好きになったのだから仕方ない。彼に女のようにされるのが、好き仕方ないんだ。
シャワーを浴びていて、ふと背後に気配を感じた。たまにひとりぼっちのムースが、寂しがってバスルームまでく来ることがあるが、今はドーナルがいるから寂しがることはない・・・・僕はシャワーの蛇口を締めて背後を振り向いた。シャワーカーテンの向こう側にある、背の高い影。ドーナルだ。
「あ、あのさぁ。アダム」
変に上擦った声。僕は笑ってしまう。濡れた髪の毛をかきあげて、僕は言った。
「どうしたの。ドーナル」
「お、俺、俺も浴びたいんだけど」
ドーナルの言葉に胸が高鳴った。ああ。ここで抱かれちゃうのか。バスルームは明るいし、ちょっと恥ずかしいけど・・・この時をずっと望んでいた。僕は再びシャワーの蛇口を開けた。背を向けて、いいよ。と言った。
「寒いから、一緒に浴びよう。来て」
シャワーカーテンが開けられる音。ドーナルは僕の裸を見ている。まだ筋トレしていて良かったな。弛んでないといいけど・・・つ。と指先で僕の背中を撫でるドーナル。
「ふぅ、う・・・」
「くすぐったい?」
僕を後ろから抱きしめて、背後でささやくドーナル。ドーナルの声と吐息を耳で感じて、僕は一人興奮する。ぞくぞくと背中が興奮で震える。これだけでこんなになってしまうから・・・これからどうなってしまうんだろう。うん。と僕は頷く。ドーナルは笑って、僕の首筋や、肩にキスしてくる。ちゅ。ちゅ。と音を立ててキスしてくる。僕は目を閉じて、ため息をつく。くるりとドーナルを振り向いた。
はた。とドーナルは一瞬驚いた顔をする。僕は思わず笑ってしまう。ドーナルの濡れた赤い髪の毛を撫でる。ドーナルの髪の毛、伸びたな・・・赤いというかオレンジっぽいのかな。あ。と僕はそれに気付いた。
「ドーナル、顔にはそばかすないけど、胸とか肩にあるんだね」
ああ。とドーナルは自分の肩を見て笑った。ふい。と顔を近付けて微笑む。
「そうだね」
ドーナルは鼻先をくっつけてくる。切なげな目で僕を見てくる。僕は胸が締め付けられる。なんて顔をしてくるんだ・・・・僕は自分からドーナルの頭に腕を回してキスをした。
貪るように舌を絡めてキスをした。ドーナルは僕のペニスと自分のペニスを握って、扱いてくる。
「あっ・・・・!や、だ・・・・・」
僕はドーナルにしがみついて、首を横に振る。気持ちいい。じわじわと涙が出てくる。ドーナルは僕の涙に唇を寄せてくる。僕の尻を撫でて、耳元で囁く。
「分かってる。ここ、まだだって・・・でも、俺・・・アダムのここで、いきたいんだよ」
僕はドーナルをぼんやり見つめる。痩せて見えるけど、脱ぐとすごく、がっしりしてるし、男らしいんだよなぁ・・・ふわふわとした気持ちで僕は後ろを再び向いた。ドーナルは僕の思いを分かってくれたらしい。僕の尻を撫でて、たまに軽く摘まんでくる。ふふ。と僕は笑う。ドーナルは自分のペニスを僕の太腿の間に入れてきた。恥ずかしくてあまり見なかったけど、ドーナルは・・・かなり、大きい。僕は足を閉じた。ドーナルは、ため息をついた。ドーナルは僕の胸を揉んで、乳首をきゅ。と摘まんでくる。僕の首や背中にキスをしてくる。
「あう・・・・ドーナルぅ・・・・」
「愛してるよ」
腰をゆっくり動かしてくるドーナル。ドーナルの腰が尻に当たって、パンッ、パンッ。と音がなる。僕は自分でペニスを扱く。するとドーナルは僕のその手に自分の手を重ねてきた。あ、やだ。嬉しい。
じわ。と涙が出てくる。ドーナルの腰の動きが早くなってくる。太腿で感じるドーナルのペニス。僕は太腿に軽く力を入れた。びく。とドーナルの体が震えた。
「アダムっ・・・・」
僕の耳元でドーナルは切なげに名前を呼ぶ。ん。と思わず声が出てしまう。僕は射精した。シャワーのお湯ではないものが、僕の太腿の間を流れていく。ドーナルの精液・・・幸せだ。僕はドーナルを振り向いた。
ドーナルの目元が赤い。えっ?僕はドーナルの頬に触れる。
「泣いてるの?」
ドーナルは、はは。と笑った。
「そうだよ。嬉しくて・・・」
「ドーナル・・・」
僕らは抱き合ってキスをした。幸せの絶頂。誰も僕らを邪魔しない。

だから、バスルームを出て、何気なくスマートフォンを見ていたとき、ニュース速報を見ても、特に何も思わなかった。

「死者が蘇り、人を襲う??ハイチでゾンビ発生か?」

「アダム。ラッシーを作るけど、飲む?」
ドーナルがキッチンから声をかけてきた。僕は「飲む!」と叫んでスマートフォンをソファーに放り投げた。

ドーナルが作ってくれたラッシーはおいしかった。牛乳とハチミツとレモンの絞り汁を混ぜただけだよ。とドーナルは笑っていた。