2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

TITANIUM・8

マットは、動揺を隠せなかった。アダムにはペニスも睾丸もあった。だが、導かれたそこ・・・睾丸の裏あたりだった。(女性器があった・・・あれは一体)初めてセックスした次の日の朝。マットは聞いた。「君はその、男なのか?女なのか?」アダムは笑った。「…

TITANIUM・7

アダムはリリーの雑貨屋で働くことになった。客は一日に十人ぐらい。皆アダムをすぐに受け入れてくれた。リリーは学校から帰ってくるとすぐにアダムの元にやってきた。雑貨屋の品出しや、整理、発注をまかされた。リリーも手伝ってくれた。たまにリリーの宿…

TITANIUM・6

二人が辿りついたのは、田舎の小さな街だった。車を降りながらマットは言った。「こういうところは、余所者を排除するか、受け入れるかどちらかなんだけど、こっちが素直な気持ちで教えを乞う姿勢を見せれば大丈夫だ」「分かった」「アダムは素直だし、大丈…

パーフェクト・ディ・2

「マルホランド・ドライブで、娼婦の惨殺死体が発見される」 リックは新聞の見出しに、眉をひそめた。最近はイカれた事件が多い。リックは煙草を吸って呟いた。「ひでぇ事件だな」「リック。その娼婦、口から上がないらしいぞ」リックは読んでいた新聞を目の…

パーフェクト・ディ・1

「口から上がない死体を見たことがあるか?」女に聞く男。男は煙草を吸って笑っている。派手なアロハシャツを着た男だった。自分の父親ぐらいの年かもしれない。夜の街に立っていた彼女に声をかけてきた。男の車に乗り込んで、何をするでもなく街を走る。女…

TITANIUM・5

バスルームで、アダムの髪の毛を切りながらマットは聞いた。「どこに行きたいですか?俺と」「もう、敬語はやめてくれよ。そういう関係じゃないんだから。もう」「・・・分かった」長い髪の毛に隠れていた顔が現れる。目を閉じていたアダムは、ふ。と目を開…

TITANIUM・4

「上司」はマットを見た。三歳の頃から育ててくれた「上司」。名前は知らない。「上司」はずっと「上司」であり、父親ではなかった。「上司」にとってマットとジョゼフは息子ではなかった。「私の財源を奪おうとするのか」「そうです」「マット。お前は才能…