博士🍩×人造あだむの話の続き

どれぐらい経ったでしょうか。

次にアダムが目を覚ましたとき、アダムはベッドの上にいました。天井を見上げていると、咳をする音が聞こえました。
「気がついたかな?一週間君、ずっと寝てたよ」
声の主を見ると、赤い髪の毛の男が立っていました。アダムはその男を見て驚きました。
錬金術師・・・」
その男は昔から無気味な噂がある男でした。森の奥に住み、怪しげな実験を繰り返しているらしい。墓を暴き、死体をつなぎ合わせて新たな生き物を生み出しているらしい・・・アダムたちはたまに車に乗って街に出かける彼を、錬金術師と噂しました。アダムの村で車を持っているのは、この男だけでした。あいつは、怪しい錬金術師だ・・・・近付かないほうがいい。
錬金術師と呼ばれた男は、はは。と笑いました。
「俺は足や手を失った人たちのために、義足や義手を作る仕事をしているだけだよ。説明するのが面倒だから黙っていたけど・・・」
義手や義足はアダムにとってまだまだ馴染みの薄い物でした。手や足を事故で失った者は、ずっとそのままだったからです。日焼けして、農作業しかしていない自分と違い、清潔で色が白い男は本当に学があるように思えました。男は咳をしながら自分の名前を言いました。
「俺はドーナル。君は?」
「アダム・・・・」
アダムは自分の名前を言いながら、胸を撫でました。大きな傷跡に気付いてアダムは驚きました。
「これは・・・何だ?」
「新しい心臓にしたんだ」
「えっ?」
「そもそも何で、君たちの村が侵略されてるのに、この屋敷は侵略されてないと思う?」
ドーナルは笑っていました。アダムは理解ができずに怖くなりました。首を横に振りました。
「分からない・・・怖い」
「ある意味錬金術師というのはあっているのかもしれない。俺は国から補助を得て、新たな人間を作るための研究をしているんだ。だから侵略されなかった」
「新たな、人間」
ドーナルはアダムに近寄り、寝ているアダムの額を撫でて笑いました。美しい青い目は、とても優しい目です。
「暴行を受けて君は死にかけていた。内臓も、声帯も、心臓も傷ついていたら、移植したんだ。大成功だ。目も見えなくなっていたから新しい目にしたよ」
アダムは目を見開き、ドーナルを見ました。ドーナルは笑っています。ふと顔をそらすと咳をしました。咳が収まると、ドーナルはもう一度アダムを見つめ、額にキスしました。
「きみはずっと僕のそばにいるんだ」
アダムは、ただ呆然とドーナルを見つめるしかできませんでした。アダムは死ぬはずでしたが、ドーナルによって新しい命を与えられたのでした。