Dementia・4

ドーナルの日記から。日付は一ヶ月ほど空いている。

ハイチで死者が蘇ったのが一ヶ月前だった。あっと言う間にゾンビは世界に蔓延した。だが、世界情勢はそんなに変わらなかった。今もインターネットができているし、朝が来れば起きるし、夜が来れば寝る。隣にはアダムがいて、今もソファーの上でテレビを見ながらアイスクリームを食べているし、ムースはすぅすぅと自分のベッドで寝息をたてている。
あまりにもこの一ヶ月はいろいろありすぎた。何から書いたらいいか分からないから、とりあえず箇条書きをして、それから細かく書こうと思う。
●俺はゾンビに噛まれて、ゆっくりとゾンビ化している。丁度アダムをバスルームで抱いた一週間後ぐらいの出来事だ。
●俺がゾンビになったのが原因で、アダムと大喧嘩した。お互い号泣した。もう喧嘩はしたくない。
●でもそれがきっかけで、アダムのバージンをもらうことができた。死ぬほど可愛くて涙が止まらなかった。まぁ、俺はもう俺は死んでるけど。

ここまで書いて右手がつらくなってきた。俺は右腕を噛まれてしまって、そこからゾンビになっていく。噛んできたのは女のゾンビだった(それが喧嘩の原因だった)
噛み跡はネットとか映画でよく観る「壊死」みたいな感じになっていて、紫色になっていてけっこうグロい。リビングでアダムが呼んでいる。一緒にアイスクリームを食べようと誘ってくれている。ゾンビになって排泄も何もしないのに、ちゃんと物が食べれて、アダムの体に興奮している(そして射精する)一旦休憩。アダムとアイスクリームを食べてくる。

アダムとアイスクリームを食べて、ちょっとイチャついてきた。ゾンビになってから眠らなくても平気になってきたので、書けるときにとことん書いておこうと思う。
バスルームでアダムを抱いた日に、ハイチで死者が蘇り、生きている人間を襲うという事件が起こった。感染力は絶大で、あっと言う間に世界中にゾンビが蔓延する・・・と誰もが思ったが、そうはならなかった。
噛まれてからゾンビになるまで、時間がかかるのだ。それは個人差があり、わずか一時間でなる者もいれば、噛まれて何ヶ月も経つのにゾンビにならない者もいる(ただ、体は死体と同じである)研究者や、政府の機関は必死に研究を重ねたが、特効薬も何も見つかっていない。ただ、全世界の政府は、国民達にこう伝えた。
「ゾンビに噛まれた者は、速やかに研究施設に出頭すること。背いた者や、ゾンビを匿う者は法律違反として逮捕する」