悦楽共犯者・2

「 サーを愚弄する者がいました」

ファズマの報告は、まるで日常会話のようだった。俺はふと手を止めて、向かいに立つファズマを見た。ファズマは表情を変えずにこちらを見ていた。俺はデスクの上で手を組むと聞いた。

「 なんて愚弄していた?」

さっ。とファズマの顔が一瞬曇った。俺から目を反らさずに言った。

「 ・・・雌豚と愚弄していたのです」

俺は笑った。ゆっくりと立ち上がる。傍らに置いてあった手袋をはめた。

「 教えてくれてありがとう」

「 誰だか分かるのですか」

俺は部屋を出るとき、ファズマを振り向いて言った。

「 そういう輩は既に察しはついている。もともとそんなに信用が置ける人物ではなかった」

ファズマはそれ以上何も言わなかった。俺が今から何をするのか分かっているのだろう。

 

俺がその男と対面した時、男は自分が何をされるか分かったのだろう。じっと下を向いて、額に汗をにじませていた。

「 この部屋は完全に防音だから、どんなに騒いでも誰にも聞こえないぞ」

俺が男の肩に手を置くと、ひっ。と掠れた悲鳴をあげた。俺は男の耳元で囁いた。

「 指導者のことを何て愚弄してたのか、私に教えてくれないか?」

男は黙っている。汗がだらだらと流れいる。俺は瞬きをせずに男の横顔を見つめた。男は震える声で言った。

「 ・・た、と言いました」

「 聞こえないぞ」

遮るように言う。俺は人に圧をかける術を知っている。男は目をぎゅっ。と閉じて呟いた。

「 雌豚と言いました」

「 女の指揮は気にくわないか?」

男は黙っている。俺は両肩を掴んでいた力をまたさらに込めた。男の肩に俺の指が食い込む。俺は男の横顔を見つめて言った。

「 答えろ」

「 女の癖に生意気だと思います」

俺は笑った。俺の望む事を言っくれた男に感謝して、俺は隠し持っていたナイフで男の右耳を切り落とした。血が飛んで俺の頬にかかった。

「 ぎゃああああああああああああああ!!!!!」

男は俺から逃れようとデスクの上に身を乗り出した。さすが拷問用に作られたナイフだな。と感心しながら、デスクの上に投げ出された男の手の甲にそのナイフを突き立てた。男はもう悲鳴すらあげることができずに、ひゅっ。と息を吐いて悶絶した。俺は左側に立って言った。

「 前々からお前は信用が置けなかった。指導者に従えない者はいらない。今日限りでな。処刑はしない。お前はこれからの人生左耳だけで生きていけ。生きていけるかどうかは知らないけどな」

俺は男の手の甲に刺さったナイフを抜いた。男は悶絶しながら手を押さえて床を転げ回っている。声も出せないようだ。俺は切り落とした男の耳を床に落として、ぐりぐりと踏み潰した。ぽつりと呟いた。

「 俺の愛する女だ。愚弄は許さない」

俺は部屋を出た。ファズマが立っていた。俺はナイフをハンカチで拭きながらため息をついた。 ファズマが言った。

「 あとは私が引き継ぎます」

「 ああ。ありがとう」

「 将軍。私もよろしいですか?」

俺はファズマを見た。ファズマは微動だにしない。レンに対する忠誠心は好ましい。ああ。と俺は口を歪めて笑った。

「 任せる」

ファズマは部屋に入って行った。俺は自分の部屋に向かった。

 

「 拷問したの」

部屋に入るなり、レンが聞いてきた。レンはこちらに背を向けてミリセントを抱いていた。

「 分かるか」

俺はコートを脱いでレンに近付いた。ふふ。とレンは笑った。

「 分かるわよ。右耳を切り落として手の甲にナイフを刺したわね」

傍らにミリセントを置いてレンは立ち上がった。こちらを振り向く。 レンは美しい女だ。指導者であるから着飾る必要はない。黒い艶のある髪の毛と、顔にある大きな傷。睫毛に縁取られた黒い瞳。濡れた赤い唇。それだけでカイロ・レンは美しかった。絶大なる俺の女神であり、光だった。 レンは俺の頬に触れた。そしてキスをしてきた。

「 血がついている」

レンは俺を見つめ笑った。

「 優しいのね。ハックス。私だったら殺していた」

俺はレンを抱きしめキスをした。興奮していた。レンに殺されるのはどんな気分だろう。レンを押し倒し、胸を揉みしだく。舌を絡めてキスをする。耳朶を甘噛みし、首筋にキスをした。たわわなレンの胸は俺の手に余る。服を脱がし、直接揉む。

「 あ、はぁ・・・ん、ハックス・・・」

俺の手の中でレンの乳首が、ぷっくりと大きくなってくる。愛しい。俺はレンの乳首を口に含み、舌で転がす。

「 あ、やぁ・・・んぅ・・・」

「 レン。愛してるんだ。お前が愚弄されるのが本当に許せない」

「 ハックス・・・」

俺たちはまたキスをする。レンの下を脱がして、裸にする。傷だらけだが滑らかな太股や、形のよい大きな尻を撫でる。そしてそこに触れる。ぴく。とレンの肩が触れる。俺は自分のズボンのベルトを外す。ぺろ。とレンは自分の唇を舐めて笑った。

「 久しぶりね」

「 そうだな。こういう時ぐらいしかお前を抱けない」

レンの額にキスをする。指をすすめてみる。ぬるりとする独特な感触を指先に感じる。レンの顔は赤らみ、目に涙がたまっている。うん。と頷くレン。

「 あれから、随分馴れたのよ」

「 そうだな。ありがとう」

俺はレンのそこにぺニスを推し進めた。レンは仰け反って矯声をあげる。その仰け反った喉や胸にキスを落とす。最初はゆっくりと動く。レンは腕で顔を隠している。俺はその腕をよける。いや。とレンは首を横に降る。

「 恥ずかしい・・・」

「 恥ずかしいことなんかない。レン。きれいだ。本当に」

「 ハックス・・・」

レンの中は熱い。溶けそうになる。レンのいいところもだんだん分かってきて、そこを突くようにするとレンは悲鳴にも似た矯声をあげて、俺の背中に爪を立てた。

「 レン。大丈夫か。中に出しても」

俺の動きは性急になる。レンは涙を溢しながら頷く。

「 きて」

俺はレンにキスをする。キスをしたままレンの中で射精した。

「 熱い・・・ハックスのが、奥に・・・いっぱい」

息も絶え絶えにレンは呟いた。額や頬に何度もキスをした。髪の毛にも。レンは俺の耳元で囁いた。

「 ハックスは、私の犬ね」

俺はレンの唇に噛みつくようなキスをする。

「 そうだ。どうだ。犬に抱かれる気分は」

レンは、ふふ。と笑った。

「 最高ね」

 

題 「 犬」